2014年4月27日日曜日

交替性転向反応

サソリモドキ論文を見直し、共同研究者へ送る。これで、少しは学生の研究について真面目に考えられるか。

前日、とある方から教えて頂いた文献。

オカダンゴムシの交替性転向反応はなぜ起こるのか?
林 靖人 (2013) つくば生物ジャーナル, 12?

著者は高校生で、高校生科学技術チャレンジで文部科学大臣賞を受賞した研究をまとめた論文らしい。この内容は、アメリカで発表するのだとか。

ダンゴムシを迷路に入れると右、左と順に曲がることは広く知られており、この性質は交替性転向反応と呼ばれる。

この現象は多くの研究者に興味をもたれ、現在では、BALM仮説での説明が最も有力とされている。ちなみに、BALM仮説は、左右の足の負担を均一するという考えで、右に曲がるときは、左足が大股になり負担が大きくなるので、次は左足が小股となる左に曲がりたい、というものである。

この分野、もうやることはないだろう、と私は思っていたのだが、、、。

林さんは、触角の接触が交替性転向反応の最終決定を行っている、ことを実験的に証明した。BALMの影響もあり、BALMで進行方向の偏りができ、最終的には触角の接触で決まる、と考えている。

実験系は非常に簡潔で、90°の角を曲がらせた次の角の角度を変更し触角の当り方を操作することで、触角による影響を評価している。論文も明瞭な仮説検証実験であり、とても勉強になる。