2012年11月13日火曜日

カブトムシとクワガタ

授業×2。またまた、授業が一つ終わった。

授業の準備したり、島根の標本を整理して終了。

大学の本屋で偶然見つけた一冊。面白い。勉強になる。オススメの一冊。


カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)

タイトルから分かるように、あのカブトムシとクワガタの本。著者は、誰でも知ってるカブトムシとクワガタを研究して、京都大学で博士号を取った。あの超メジャーな虫で、今更研究することあるの?、と思ったら、実は、あまりにメジャー過ぎてか、これまで学術的な研究はほとんどされていなかったのだとか。

研究スタイルは非常にシンプルで、夏になったら夜中に山に入ってひたすらカブトムシとクワガタを観察するというもの。ひたすら、と簡単に書いたが、50haの雑木林を6〜8月の間、一日も休まずに夜の7時から朝の5時まで調査したらしい、、、今も続いているみたい。

1.カブトムシの闘争は、まず、角の大きさ比べをして、それで互角だと突っつき合いになる。そこで、体が小さい個体は、大きな個体に比べて相対的に大きな角を持つことが分かった。つまり、幼虫のとき栄養状態が悪くて大きくなれなかった個体は、体を大きくするのを諦めて、角を大きくする戦略を取っているらしい。そうじゃないと、絶対に闘争で負けちゃうので。

2.ミヤマクワガタとノコギリクワガタが闘うと、ノコギリの方が強い。これは、刺激に対する反応性の違いが原因であると考えられる。ノコギリは、頭部を上から刺激しても、下から刺激しても反応するが、ミヤマは、下からの刺激にしか反応できない。したがって、ノコギリが先にミヤマの上方から攻撃を仕掛けた場合、ミヤマは反応できずに負けてしまう、、、。

3.カブトムシはフクロウに摂食され、とくに、♀が狙われやすい。

4.カブトムシの♂と♀が餌場で出会うと、♂は交尾をしたがるが、♀は交尾を拒否する。♀は交尾拒否するために、その脚に鋭いトゲを持っている。しかし、どうにか交尾に成功すると♂は♀を放り投げてしまう。これは、次にやってくる♀と交尾を終えた♀が闘争するのを避けるためである。では、♀が交尾を拒否するのはなぜか?交尾が終わると餌場から投げられてしまうので、食事の時間を確保するためと考えられる。

5.一方で、クワガタの♂は交尾終了後も♀から離れない。これは、後から来た♂が前の♂の精子をかき出すなどの行為をするのを防ぐためではないかと考えている。

6.(2年前に福岡でも観察したが)カブトムシは樹皮を自ら削って樹液を出すことができる。ただ、この行動は出ている樹液をなめるのに比べコストが掛かるのだが、、、樹液に集まると闘争をしなければならないが、自ら齧るとそのコストがかからない利点があるのだろう。

他にも、形態の多型の意義や沖縄や台湾のカブトは平和主義なのか、とか面白い仮説が沢山書かれている。

上記したように、研究の手法は、ひたすら観察である(ストップウォッチを使ってカブトムシの飛行速度とかも調べてる)。でも、カブトムシやクワガタを観察したヒトはこれまでも沢山いるのに、なぜ、このような発見がされなかったのか。それは、進化的な観点から考えなかったからだろう。角と体サイズの関係ではトレードオフの考え方や、交尾時における雌雄の異なる行動などは性的対立の知識が必要である。実験や観察はもちろん大事だけど、そこに知識がなければアイデアは生まれない、と実感。

必読の一冊。生物の見方が変わると思う。

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