2011年7月12日火曜日

解剖実習

学生実験×2。

今日は、カエルの解剖。昨年まではやってなかったけど、今年からやることにした。生理的に苦手な人が多いと思うので、色々と問題がありそうだけど、多分、自分でやるとは思えないので。

大学院生が解剖してくれた、口から肛門まで。


解剖をやろうと思ったキッカケは、来年から徐々に、いわゆる「ゆとり教育」が終わり新指導要領となる、こと。といつつ、私は何が変わったのかほとんど理解していないのだが。

文部科学省の新旧対照表を見てみる。と、小学校において、臓器の扱いが詳しくなったことが良くわかる。

「体内には、生命活動を維持するための様々な臓器があること」が増え、具体的には、「主な臓器として、肺、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓、心臓を扱うこと」とある。現行の指導要領では、消化系と心臓の働きは学んでいたが、「臓器を扱うこと」と具体的に記述されたのが大きな違いか。

文部科学省もナカナカ親切で、観察・実験の手引きなるものを公開している。いくつかざっと見た感じだけど、授業の流れの手引き、みたいで、具体的な実験例は、あまり載っていない?例えば、人と動物の骨格を比べて特徴に気づかせる、とあるけど、自分ならどうするかね。ナカナカ、難しい。

さて、臓器のところ(人の体のつくりと働き)を見てみる。臓器を学ぶ理由は、「生命維持装置を理解して、生命尊重の態度を育てる」ことなのか。解剖はすすめられているのかな、と思ったけど、魚の解剖が挙げられていた。カエルはやらないのかな?

キットこのあたりから、何となく、カエルとか昆虫は気持ち悪い生き物で、魚と鳥とほ乳類は可愛い生き物、と刷込まれていくのだろう。小学校低学年生は平気で触っているので、遺伝形質ではないのだろう。脳内操作が行われているわけだ。結構、怖いことだと思う、、、。


ついでに中学校も見てみる。中学校では、「動物の仲間」の単元が結構充実した。これまでは、「動物が幾つかの仲間に分類できること」とし、具体的には「脊椎動物を取り上げること、無脊椎動物は、その存在を指摘する程度にとどめること」となっている。なぜ、とどめる、、、。

新指導要領では、「脊椎動物の仲間」、「無脊椎動物の仲間」、「生物の変遷と進化」とナカナカ面白そう。進化と体のつくりを関連付けるのか、、、。本学の学生を教えている感じだと、自然選択と用不用説がごっちゃになっている人が多い気がするけど、大丈夫だろうか。

「無脊椎動物の仲間」が新しく入ったので、当然、それに絡んだ内容がごっそりと増えることになる。具体的には、「節足動物や軟体動物を観察し、脊椎動物と比較」を行うようだ。本学の先生が、本学の学生を対象にした研究では、節足動物の仲間を問うた質問(昆虫類と甲殻類と答えさせる)の正解率が、、、30%前後!2年生以上は、私の授業でピットフォールとツルグレンを経験しているのだが。

本学の学長は、学生のボランティア活動の充実をめざしたいみたいだけど、それどころではない気がする。

解剖は、色々と問題があることは間違いないと思う。今回、あえてやったのは、手技や臓器の理解もあるけど、生物学では、死んだ生物を扱わないと分からないことがあるということ、を理解してもらいたかった。殺すこと自体が無駄死にではなく、無駄死にしないように有効に利用することが大事だと。

とりえあず、これで研究に集中できそう。