2011年2月28日月曜日

茶色

昨日の水族館訪問の際、抜け出して動物園モドキに行っていた。

カピパラが自由に触れるようになっていた。なかなか良いと思うけど、背中や顔の毛が抜けてしまって、ちょっと可哀想。


プレーリドックもいた。太っている気がする。もっとスマートなイメージだけど 、、、。



水鳥用の池があるのだが、鳥インフルエンザ対策ということで、水が抜かれていた。また、本来はクジャクが放し飼いになっているそうなのだが、同様の理由で、檻の中に入れられていた。

午前中は会議で潰れた。とうとう、国際陸生ワラジムシ類学会への応募を済ませた。一応、審査があるらしい。発表すらできないということがあるのだろうか。

午後は、コシビロの文献整理。Cubarisの論文化について、良い案が浮かんだ。タイプ標本についても問題が解決したので、一気に片付けたい。

2011年2月27日日曜日

水族館

学生と一緒に水族館に行ってみる。遊びではなくて、一応、学校行事の一環。

バックヤードツアーと呼ばれる、裏方さんの仕事場を見せてもらった。


一番の大きな水槽の上で色々と教えてもらった。


サメの卵だそうです。サメの卵は不思議な形をしているイメージがあったけど、これは初めてみた。

イルカとクジラの違いは体の大きさで、 分類学的に区別されている訳ではない、というのは結構有名な話。何気に知られていないのが、歯の形態に大きく二つのタイプがあること。プランクトンを食べる種は、ヒゲ状の歯を持ち、海水を大量に飲みこんだのち、ヒゲでプランクトンを濾しとって食べる。一方、捕食性の種は、鋭い歯を持ち餌動物を噛み切る。

バンドウイルカの歯
ミンククジラの歯?ヒゲ?

2011年2月26日土曜日

教訓

昨夜、買い物の帰り、あえて主道から離れて細い道を車で走っていたら、道路に何か物体が。懐中電灯がなかったので、携帯電話の明かりで探したところ、動物の遺体を発見。どうもイタチのようだ。

車道の真ん中で死んでいたので、路肩に運んで撮影した

日本には5種のイタチが分布しているそうで、これが何と言う種かは不明。

遺体の状況は、死後硬直なのか体はとても堅く、腐敗臭はしない。口から血を流しているが、目立った外傷はなし。あとから気づいたが、頭部が曲がっているかも。

いつものごとく、遺体を持ち帰るのだが、調査中ではないので、ビニール袋がない。ということで、そのまま助手席の脚置きに、購入したばかりの食品と一緒に置いてみる。家についたが、翌日まで車内に放置することに。

そして、今日。昼頃、大学に車で来て、ビニール袋に入れて研究室の冷凍庫に入れよう、、、と思ったら、ビニール袋に何かが付いている、、、もしや。


ビニール袋をせっせとマダニが登っているではないか。マダニは二酸化炭素などを手がかりに動物に付着するので、宿主が死ぬと離れて移動を始める。

よくよく見ると結構な数がいる、、、。おいおい、一晩、車内に放置してたよ、、、と、焦って車に戻って、車内を探したところ、元気なマダニを2匹発見!やってしまった。

教訓、ほ乳類の遺体を車内に放置していけない。

2011年2月25日金曜日

どうやら

入試当日。一応、手伝いをする。

当然のように飽きてしまい、合間に、フと気づいたことを調べてみた。

日本からはCubaris属のワラジムシは一種のみCubaris iriomotensisが報告されている。当然のようにこの種も種名はおろか、属の所属も再検討の対象である。

ワラジムシ類はまだまだ、DNAレベルの研究が少ないので、私のデータを既報告の近縁種と比較することがほとんどできない。しかし、下記の論文でCubaris属の一種の16S領域が調べられていた。

Phylogenetic analysis of mitochondrial LSU rRNA in oniscids
Michel-Salzata and Bouchona(2000)C.R. Acad. Sci. Paris, 323: 827-837

ということで、こんなことをしている余裕はないのだが、Cubaris iriomotensisと比較してみたところ、、、ほぼ一致。まだ、16S領域のみ解析なので、これだけで、すぐに結論とはいかないが、、、ほぼ決定のようです(形態の論文も見ました)。ということで、Cubaris属は残りそう。どういう形で論文にするか。

予想外で、そして、とても嬉しい電話がかかってきた。本当に良かった。

2011年2月24日木曜日

時計遺伝子

明日が前期入試ということで、今日は、構内にほとんど学生がいないので、とても静か。

日本周辺のコシビロダンゴムシの抜き出しをとりあえず終えた。このサイトから陸生ワラジムシ類の全世界の種リストと文献リストが入手でき、そこから、ひたすら東アジアの種を探しただけだけど。属名は確実に変わるだろう。
取り寄せる文献は100本近くになりそう、、、。

合間に昨夏に採集したトカラのコシビロダンゴムシに通し番号を付けた。合計で1800弱になった。これに、学生に任せている福岡のサンプルが加わる。そして来週、横浜からまとまった標本が届く予定。確実に2000は超えるだろう。

先日、何となく買った本。


NHKサイエンスZERO 時計遺伝子の正体 (NHKサイエンスZERO)

NHKのサイエンスZEROという番組で放送された内容を文章にした本。ということで、内容はとても分かりやすい。というよりも詳しい記述はあまりない。

なぜ、時計遺伝子の研究が盛んなのかというと、多くの生命現象には特有のリズムがあり、例えば、病気の細胞にも特有のリズムがあるので、病気の発祥しやすい時間というのがあるらしく、そのリズムを壊すor正常に戻す、ことで治療が可能になると考えられているそうだ。

また、リズムを刻むメカニズムが単純で美しかった。原理はタンパク質のフィードバック現象だった。


A遺伝子はタンパク質Aを生成し、B遺伝子はタンパク質Bを生成する。タンパク質AはB遺伝子を促進する性質を持ち、タンパク質BはA遺伝子を抑制する性質を持つ。すると、、、タンパク質Aが大量に生成されると、タンパク質Bが大量に生成され、結果、A遺伝子の働きは抑制され、タンパク質Aが減少し、結果、B遺伝子の働きが弱まり、タンパク質Bが減少し、結果、A遺伝子の働きが活発になり、、、という具合。上手くできてますね。

もう一つ興味深かったのが、18世紀にオジギソウという植物の葉が昼に開き、夜に閉じている現象に興味を持ったことが体内時計研究の始まりだったこと。その後も、ショウジョウバエの羽化の研究から時計遺伝子が初めて発見されるなど、今では、医学への応用が考えられているが、その根底には基礎研究があった。

ちなみに、この本の執筆者の一人である上田泰己さんは、大学院在学中に、日本最高峰の研究機関である理化学研究所のグループリーダーに採用された、スゴい人。かっこ良いので、よくテレビで見かける。

2011年2月23日水曜日

引っ越し

どうも調子が悪くなってしまったので引っ越し。ますますGoogleにハマって行く。

書類が増えてしまい、処理が追いつかなくなったので、あまり読まずにどんどん書類を捨てる作戦に出る。その結果、以前読んで埋もれていた本を発見。


粘菌 その驚くべき知性 (PHPサイエンス・ワールド新書)

かの有名な粘菌の話。

粘菌が迷路を脱出するかのように紹介されることが多いが、実際は、粘菌は様々なルールで繋がった結果、最短距離で迷路を脱出したように見える、ということ。ちなみに、粘菌は餌場と餌場を養分輸送用のネットワークで繋いでおり、単純に最短距離だけでなく、一カ所が破壊されてもネットワークが繋がるような保険も掛けることがあるそうだ(結果、最短距離でなくなる)。

実際の論文は、そのようなモデルの有用性を数学的にシミュレーションしているようで、この本にも、ところどころ数式が出てくる。

やはり、研究の真の価値を理解するには原著に当たる必要があり、この手の本は、むしろ、研究を進める上での苦労話を読んで、自分を慰めるのに使うのが良いかも。

ある意味一番、刺激を受けたのは、まえがきの「観察とは、何かを見ることというよりも、何を見たら良いかを探すこと」という文章だった。良い言葉だと思う。答えを見つけることよりも、面白い問題を見つけることが大事、ということか。